このブログを見ている人の中で、糖質制限をしている人もいるかもしれませんが、糖新生という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
糖質制限をすると、糖新生によって筋肉が減るのか?最近は、色々なところでこんな議論が行われているみたいなので、今回は私の実体験と学びを元に糖質制限と糖新生の関係について言及してみようと思います。
まず、糖質制限をして糖新生が起こると筋肉が減るのか?という問いに対して先に結論を言ってしまうと、
『場合によってはYES、場合によってはNO』となります。
どういう事かというと、糖質制限をしてもやり方次第で筋肉が減りやすい場合もあるし、減りにくい場合もある、って事です。
このあたりを順番に説明していきましょう。
糖新生とは?
まずは、糖新生という仕組みを知らないと、話が分からないと思うので、ここでは、糖新生についてザックリと説明しますが、糖新生とは、タンパク質(アミノ酸)や乳酸、グリセロール(脂肪)等を材料にしてブドウ糖(グルコース)を作り出す事です。
もう少し要約すると、人間の脳と体のエネルギー源であるブドウ糖(グルコース)が足りなくなった場合に、アミノ酸や脂肪を分解してブドウ糖(グルコース)を生み出す作業が糖新生ということになります。
ここで、
「毎日、ブドウ糖を含む食事を摂っていれば糖新生は起こらない」
と、思う人もいるかもしれませんが、実は、糖新生はちゃんとブドウ糖を含む食事を摂っている場合でも、例えば、普段は1日3食なのに昼食が摂れなくて長時間栄養が摂取出来なかった場合は、少なからず微量の糖新生が体内で行われている、という事は覚えておいてください。(就寝~起床までの時間も多少の糖新生が行われています)
※細かい専門用語を使った詳しい糖新生について詳しく知りたい場合は、栄養関連の専門サイトが沢山あるので、そちらを見て頂ければ、と思います。
糖新生が起こると筋肉は減りやすい?
そして、ここからが本題ですが、糖新生の厄介なところは栄養から摂取したアミノ酸だけではなく、筋肉のアミノ酸も分解して材料にするところ・・・筋肉を分解してブドウ糖(グルコース)を作ってしまうところです。
つまり、糖新生が起こると筋肉は減りやすい、という事になります。
そして、糖新生が1番起こりやすい状況は、極端な摂取カロリー不足の時。
例えば、食事量をかなり抑えた食事制限をしたり、山などで遭難して食事が摂れない状態が続いたりすれば、糖新生が活発になり、筋肉はどんどん分解されていきます。
では、糖質制限をすると、場合によって糖新生が起こやすくなったり、起こりにくくなったりしますが、この仕組みはどうなっているのでしょか?
糖新生が起こりやすい糖質制限とは?

世間一般で流行っている糖質制限は、糖質(炭水化物)をなるべく減らして脂質の摂取も極力減らして、タンパク質を多く摂取するやり方が大半ではないでしょうか。
実は、この方法は糖新生が起こりやすく、筋肉が分解されやすくなり、低血糖になりやすく、頭がボーっとする事も・・・。
どのくらい糖質(炭水化物)を制限するか?にもよりますし、タンパク質をどのくらい摂取するか?にもよりますが、どちらにしてもこの糖質制限の方法の場合、脳や体は糖質(炭水化物)からエネルギーを得ている状態です。
なので、糖質(炭水化物)を制限すればするほど糖新生が起こりやすくなり、筋肉が分解されやすくなります。
その対処法として、タンパク質を多めに摂取することで、少しは糖新生が起こるのを抑える事が出来るのですが、それでも糖新生は起きやすい状態に変わりはありません。
では、糖質制限という方法は糖新生を起こしてしまい、筋肉を分解してしまうからやらないのほうが良いのか?
こう思うかもしれませんが、実は糖質制限の方法を変えてしまえば、糖新生は起こりにくくなるのです。
糖新生が起こりにくい糖質制限とは?

糖質制限をやって糖新生がなるべく起こらないようにするには、脂質を沢山摂取して、タンパク質もしっかり摂取して、糖質(炭水化物)を限りなくゼロに近づけることです。
この方法は、糖質制限の中ではケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)と言われている方法です。
やり方としては、食べ物の半分以上は脂質から摂取するのが好ましく、残りはタンパク質から摂取して、糖質(炭水化物)と言われる食べ物(お米、パン、うどんなど)は一切摂らないようにすることが重要。(ソースやケチャップなどの調味料の糖質にも注意が必要です)
栄養素の割合は、
- 脂質が60%前後
- タンパク質が30%前後
- 糖質(炭水化物)が10%前後
ちなみに、脂質の中でも中鎖脂肪酸を含む食べ物(おすすめはココナッツオイル)は、ケトン体を生成しやすいので、取り入れていくと良いでしょう。
素早く、体のエネルギー源をケトン体にしたい場合は、ココナッツオイルよりも中鎖脂肪酸100%のMCTオイルを摂取していくことをおすすめします。
こうしてケトン体がエネルギー源として使われるようになれば、糖質(炭水化物)をエネルギー源にする為に分解する必要がなくなるので、糖新生が行われにくくなり、筋肉の分解も起こりにくくなる、というからくりです。
これを聞いて、
「筋肉が分解されにくい方法ならダイエット(減量)には有効じゃん」
と思うかもしれませんが、ケトン体ダイエットは正確にやらないと、うまくいかない事があるので、出来れば経験や実績があるトレーナーに始動してもらいながらやる方が効果が出やすいと思います。
ケトン体ダイエットのやり方については別記事で説明しているので、そちらを参考にしてみてください。(ただし、自分でやる場合は自己責任でお願いします)
また、Ⅰ型糖尿病の人は決してケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)はやらないようにしましょう(ケトアシドーシスになり、命に関わってくる為)
ほとんど糖質を摂取しない糖質制限をしていく場合は、当然タンパク質も沢山摂取しいく必要があるので、良かったら下記の記事も参考にしてみてください。
足りないタンパク質の分は、プロテインで補いましょう。
まとめ
まず、糖新生は筋肉を分解しやすい現象だという事を理解してもらった上で今回の話をまとめてみましょう。
糖質制限をすると、やり方によって糖新生が起こりやすくなったり起こりにくくなったりします。
- 糖新生が起こりやすくなる糖質制限の方法は、糖質をある程度制限して、脂質を極力制限する事
- 糖新生が起こりにくくなる糖質制限の方法は、脂質を沢山摂取して、糖質を限りなくゼロに近づける事。(これをケトン体ダイエットと言う)
こうしてみると、このケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)をすれば、筋肉がをあまり分解すること無く、ダイエット(減量)が出来る、と思うかもしれませんが、この方法は素人が自己流でやるとうまくいかない可能性が高いので、優秀なトレーナーに指導してもらいながらやる事をおすすめします。(ケトン体ダイエットは、他にも色々うまくやるコツがありますから)
いずれにしても、世間一般で言われている脂質を抑えた糖質制限をやる場合は、糖新生が起こりやすくなり、筋肉も分解されやすいという事は覚えておくと良いでしょう。
ちなみに私は、炭水化物(お米や麺類)や甘いモノ(菓子パンやスイーツ)が好きなので、ケトン体ダイエットをやる予定は一切ありません(笑)
私の場合、そんな事はしなくても、三大栄養素をバランス良く摂取しながら体脂肪を減らすことが出来ますから。
この記事が参考になれば幸いです。
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